読む西利
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若手社員がゆく!西利品質の舞台裏 野菜づくり編
今回の「読む西利」では、営業部の若手社員2人が漬物の製造過程に関わる人々のもとを訪問。読者の皆さまに、西利の漬物の魅力をお伝えします。
最初にお話を聞くのは、全国各地の契約農家さんと二人三脚と野菜を育てる「原菜仕入」という部門。「千枚漬」の原料となる「聖護院かぶら」の収穫方法から、漬物づくりのスタート地点を担う仕事の裏側まで。ここでしか見ることのできない、西利品質の舞台裏をご紹介します。
【この記事の主な内容】
・営業部社員が聖護院かぶらの収穫に挑戦!
・畑、工場、売場をつなぐ。原菜仕入部門は「縁の下の力もち」
営業部社員が聖護院かぶらの収穫に挑戦!
今回お話を聞きに行ったのはこちらの2人。普段は店頭に立ち、漬物の販売をしています。
森垣 早弥香
2017年入社。清水店にて勤務したのち、現在は清水産寧坂店の店長を務める。
四方 義和
2019年入社。京都市・西本願寺前の本店にて、接客・販売に携わる。
11月の半ば、2人がやってきたのは、京都府京丹後市にある西利の直営農場「農業生産法人(株)京つけもの西利ファーム」(以下「西利ファーム」)。
ここではまず、千枚漬の原料となる聖護院かぶらの栽培や収穫について、原菜仕入部門の岡井から話を聞きます。
岡井 幹浩
2016年入社。原菜仕入部門の西利ファーム担当として、野菜残渣(ざんさ)堆肥を利用した農作業に携わる。
岡井さん、今日はよろしくお願いします!
2人とも京丹後までよく来たね。遠かったでしょ(笑)
遠かったです(笑)西利ファームには、新人研修で一度だけ来たことがありますが、あらためて来ると、京丹後の大自然を実感しますね。
西利ファームでは、漬物の素材となる野菜、土や種まですべてを管理しています。
ここ、京丹後の畑で育った「聖護院かぶら」が、冬の京漬物の代表格「千枚漬」になるんですね。
京の伝統野菜のひとつ「聖護院かぶら」。もともとは京都市左京区の聖護院地区を中心に栽培されていました。
西利の千枚漬。薄くしなやかな食感と昆布の旨味、ほのかな甘みが特徴です。
西利ファームはもちろん、信頼する契約農家さんの畑で採れたものを使って、千枚漬は作られているんだよ。まずは実際に収穫してみようか!
千枚漬を販売していますが、自分で収穫するのは初めて…。頑張ります!
土の上に出ている葉の部分を引き抜いたら、上の葉の部分と、下の根っこの部分を切り落とします。
「2人ともなかなか筋がいいね!」と岡井。
それにしても、これだけの量を手作業で収穫するのはなかなか大変ですね……。
もちろん機械化されている作業もあるけど、野菜の収穫は基本的に手作業。形や大きさが少しずつ違っているから、機械ではなかなか難しいんだ。
手作業での収穫には、そのような理由があるんですね!そもそも西利ファームでは、どのように蕪を栽培されているのですか?
千枚漬に適した美味しい聖護院かぶらを作るために重要なのは、畑の土づくりから丹念におこなうこと。土づくりには夏頃から取りかかるんだよ。
半年以上も前から準備が必要なんですね。
初夏の土づくりで大切なのは、太陽熱の力を借りて、健康な土壌をつくること。西利ファームでは、「太陽熱マルチ」という方法で、ビニールを地面に敷くことで土の温度を上げて土壌を殺菌し、雑草を防いだり、土中の病原菌や害虫の増殖を抑えたりしているんだ。もちろん、堆肥を用いた土づくりも欠かせないね。
堆肥を畑にまく作業は主に4〜5月。黒い部分が堆肥。
ふむふむ。そのほかに気を遣う工程はありますか?
種播きをしてすぐの時期は、作物が病気になりやすいので、一日中畑にいることもあるよ。細やかな肉質にするために、追肥を施したり……。正直、常に気は遣っているね(笑)
西利ファームで育てられた聖護院かぶら。雪のような白さと細やかな肉質が特徴。
こうやって収穫できるようになるまでには、多くの手間がかかっているんですね。
そう言ってくれると嬉しいね(笑)最高の野菜を育てるためのポイントは「手間ひま」の一言に尽きるから。大変だけど、やりがいがあるよ!
「話を聞く前に比べ、蕪がずっしりと重く感じられます……」と四方。
畑、工場、売場をつなぐ。原菜仕入部門は「縁の下の力もち」
収穫終了後は、原菜仕入部門・産地開発スタッフとして活躍する、森岡と巖の2人にも話を聞きました。
森岡 真耶
2012年入社。西利ファームでの作業を経て、野菜の入荷調整などの業務に携わる。現在、原菜仕入部門の産地開発リーダーを務める。
巖 真子
2019年入社。あじわいの郷工場での野菜の選別担当を経て、現在は産地開発スタッフとして、野菜の入荷調整などを中心に行う。
おふたりは、原菜仕入部門で産地開発を担当されているんですよね。
はい、漬物の原料となる野菜の入荷調整などを担当しています。必要な野菜の量と時期を決めて契約農家さんにお伝えしたり、産地をまわって野菜の生育状況を確認したり……。西利と契約農家さんのパイプ役を担うのが、私たちの仕事です。
産地開発スタッフは全国各地の契約農家をまわり、野菜の育ち具合、生産量に目を配っています。
計画通りに野菜の入荷を調整をすることは難しそうですね……。特に大変だった出来事はありますか?
店舗での売れ行きや製造部門からの注文数、畑での作物の出来具合などのバランスを調整することが難しいですね。
一度、工場から「みぶ菜を明日までに用意してください」と言われたことがあって…。ちょうど在庫が無くなっていたタイミングだったので、どうしよう! と思って、急いで森岡さんに電話しました。
あの時は、朝から契約農家さんの畑に行って、2人で収穫させてもらいましたね。「ちょっと畑から穫らせてもらってもいいですか!」っていう感じで……(笑)
臨機応変な対応が求められますね。ちなみに、計画通りに入荷するためには、どういったことが大切なんでしょう?
こまめに現場を見にいくことですね。農家の方と連携を深めるためにも、顔を覚えてもらうくらい頻繁に様子をお尋ねしています。
「農家さんと二人三脚で作業をする中で、学ぶことがたくさんあります。」と森岡。
店舗の常連さんもそうですが、お互い顔の見えるお付き合いは大切ですよね!
地域の農業に密接に関わらせていただけるのは、この仕事ならではだと思います。入社してから一番驚いたのが、農家さんとの距離の近さ。最近だと「丹後はカニが美味しいから、今度持っていってあげる」って言っていただけたのが嬉しかったです(笑)
それは信頼していただけている証ですね!僕も常連のお客さんに顔を覚えてもらえるように頑張らなきゃ…(笑)
漬物づくりのスタート地点である「農業」を大切にしようという思いから、私たちの「原菜仕入」の仕事は生まれているんですよ。
おいしい漬物には、おいしい野菜が欠かせませんよね。シビアな世界だからこそ緊張感もありそうです。
1年を通して気は抜けませんが、物量が増える10月からの1〜2か月間は緊張感が高まりますね。定例会といって、農家の皆さんと認識を共有する集会も頻繁に開かれます。
定例会では農家さんの本気が伝わってきますよね。ミーティングの際にこちらが準備不足だと、すぐに指摘が入るんです。それがプレッシャーでもあるんですが、頑張ろう!という気持ちに繋がります。
契約農家さんの中で一番長い方だと、何年ぐらいのお付き合いがあるのでしょうか?
西利と京丹後の農家さんとのお付き合いは、30年ほど前からと聞いています。
農協や、「西利加工野菜部会」という契約農家さんの集まりから紹介されて入っていただくことが多いですね。最近では若手の方も増えてきました。
契約農家さんのネットワークから、また新たな関係性が生まれているんですね。
わからないことは地域の方と情報交換をしています。先ほど岡井がお話しした「太陽熱マルチ」も、京丹後の農家の方に教えていただいた工夫のひとつです。
西利と京丹後の長いお付き合いがあるからこそ、このようなあり方が実現できているのですね。
私たちが販売している漬物が店頭に並ぶまでには、多くの手間と試行錯誤があることを実感しました。これからも素材を大切にする姿勢を忘れず、商品をお客様にお届けしていきます!